先日、夕方のニュースのグルメ特集を見ていた時の話なんですが。
その日の特集は、グルメではあるものの、主役は「食べ物」ではなく「店員さん」でして。
紹介されたお店は、埼玉県の某スーパー。
そこの精肉店で「カリスマ」と呼ばれている、販売員の話なんですね。
その販売員の名前は「和子」さん。
御年71歳で、週3日(木、土、日)のパート勤務。
71歳で元気に働いているのも敬服しますが、この和子さんが特集された理由というのは
- 和子目当てに訪れるファンが多いこと
- 和子が出勤すると、とにかく肉が売れる
- 和子から買う為に、列が出来る
ただの精肉店の売り場で、お肉を売ってる71歳のおばちゃん・・おばあちゃん? なのに
とにかく、肉を売りまくるんだそうです。
この和子さんが「とにかく、肉を売りまくる」秘訣が特集されており、思わず食い入って見てしまったんですが、そのポイントは、大きく分けて4つありました。
■ 和子のセールステク その1 『声を張る』
こちらのスーパーには高齢のお客さんが多いのでボソボソ商品を説明しても聞こえやしない
なので、とにかく声を張って大きい声で話しかけるんです。
■ 和子のセールステク その2 『商品の特徴を端的に伝える』
高齢層の多いお店だからこそ、細かく値段を説明したり、どこ産であるかを伝えるのではなく
「安いよ」「限定だよ」「今日だけだよ」
と、シンプルに分りやすく、重要なことだけを伝える。
とまあ、この程度であれば、どこのスーパーでもやってそうなセールス術なので、特集が組まれる程のテクニックとは言えません。
当然ですが、これ以上の神がかったセールステクニックがあるんですね。
■ 和子のセールステク その3 『お客さんの「買わない理由」を取り除く』
前述した通り、高齢のお客さんが多いスーパー。
安い、限定だと言われて手に取っても、購入をためらう理由はいくつも出てきます。
手に取って悩んでいるお客さんを見ると、和子さんは
- 冷凍で1か月保存できるよ
- こっちのお肉の方が柔らかいよ
などの言葉を掛け、
- 1人(ないし2人)では食べきれないんじゃ
- 美味しそうだけど、噛み切れるかなあ
などといった「手に取ったお客さんの悩み」を、その場で解決する言葉を投げかけるのです。
また、自分の手が届く範囲に柔らかい肉を置き、お客さんに即、手渡しできる様にするなど
売り場のレイアウトも「和子仕様」にカスタマイズしているとか。
そして、上記3つのセールステクニック
そのどれをも凌ぎ、思わず私も拍手喝采したのがコチラ、
■ 和子のセールステク その4 『商品のセールスポイントを研究&検証』
この特集が撮影された日は、新製品となる「うめウインナー」が限定販売される日でした。
ウインナーの中に梅を練り込んだ爽やかな口当たりが特徴となる新商品。
この商品を和子さんは、バイヤーさんから「1日でなんとか、300個売って欲しい」と頼まれました。
いくら繁盛している精肉店とは言え、新製品の上に、誰もが食べたことの無いような変わり種。
これを、どうすれば買って貰えるのかm和子さんは数日前から試行錯誤した末に
「うめウインナーのアレンジレシピ」を売り場に置き、手渡しすることにしました。
売り場では、「うめウインナー」の試食を配りつつ
- 今日だけの限定品
- 口当たりが良くて飽きが来ない
- サッと火を通すだけでも美味しい
と、大きな声で元気よく、商品の魅力を端的に説明すると共に
「うめウインナーうどん」等のアレンジレシピも配り始めました。
サッと茹でただけのうどんに梅を絡ませながら、トッピングに「うめウインナー」を添えるだけ。
簡単なレシピではありますが、高齢層の多い売り場では、これが大反響を呼び、気付けば大盛況。
この日の勤務時間終了後、和子さんは一目散に売り場責任者の元へ駆け寄り
『うめウインナー、何個売れましたか?』と、食い入る様に尋ねます。
担当者さんから返ってきた答えは
「ありがとうございます! 451個、全て完売です!!」
との回答を聞きつけ、2人はガッチリ握手。
これら一連のやり取りを見ていた取材班が
「いつも売上を聞きに来るんですか?」と、尋ねると和子さんから返ってきた答えは
『当たり前だのクラッカーよ!
コレ聞かなきゃ、なんの為に仕事してるのよ
いくら売れたか知らなきゃ、適当に歌でも歌ってのんと同じよ』
(↑ これは名言)
・・・と、これら4つが、精肉店のカリスマ販売員と呼ばれる和子さんが、圧倒的な売上を得ている理由となるのです。
日頃からビジネスを学んでいる人や自分で手がけている人からすれば、そこまで仰々しいテクニックではない・・・ですよね。
ただ考えて欲しいんですが、こちらの和子さん、スーパーの精肉店に勤めている普通の「パートさん」なんですよ。
(しかも、週3日勤務の71歳)
時給900円ー1000円前後の仕事なので
- 普通に試食を配ってお会計していても
- 451個仕入れられた商品を全力で完売しても
自分が手にする給料には、そう差が無い職種なんです。
(私が経営者だったら、和子さんには絶対インセンティブ払うけど)
ただのパートでありながら、自分の役割を考え、お客さんや商品のことを真剣に研究し、どうすれば買って貰えるのかを研鑽するのは何故なのか。
仕事への熱意とか責任感、与えられた役目への達成感など、まあ、色んな理由が考えられると思います。
でも私は、和子さんがそこまでする理由を、和子さんが培ってきた「仕事の楽しみ方」なんじゃないか、と考えたんですね。
和子流 セールステクニックの本質とは?
和子さんですが、今の仕事を始める以前は、亡くなられたご主人と一緒に、割烹を経営していたそうです。
ご主人と一緒とは言え、自分のお店ですから、接客にも経営にも真剣に取り組むでしょうが、
飲食経営の答えってシンプルで「お客さんを喜ばせる」これに尽きる訳ですよ。
今、目の前にいるお客さんが
「美味しかった」「また来ます」と喜んで帰って行く。
お客さんに喜んで帰って貰うことが、働いている側の楽しみでもありますし、喜ばれた数だけ、売上にも反映されていく
飲食店って、そういう事ですよね。
この割烹経営を通じて知った「どうすればお客さんが喜んでくれるか」という仕事の楽しみ方を、
割烹からスーパーの精肉店に舞台を変えて、今もなお続けている
和子さんがカリスマ販売員と呼ばれている裏には
「お客さんを喜ばせることで、自分も仕事を楽しめる」
この考え方が、意識せずとも自然に【当たり前のもの】として根底にあるんだと、私は思うんです。
一にも二にも、まずはお客さんを喜ばせよう。
その当たり前の感覚があって、その上で「じゃあ、どうすれば喜んで貰う事ができるのか」
という、技術(テクニック)の話になるんですね。
【お客さんに喜んで貰う】という感覚を、無意識レベルで当たり前に考えられるなら技術の大半は、どんな環境にも応用が利きます。
実際、和子さんのセールステクニックなんかは、割烹の女将を経験していれば、なんてことないでしょうし、真新しい裏ワザでも、なんでも無い。
だからといって、和子さんのテクニックを他の店員さんにも実践させたら、同じ様に売上が伸びるのか?
というと、そーゆうもんでもない。
和子さんは今「71歳」という立場だから、同年代の気持ちや悩みが分る
だから、同年代のお客さんにとってのカリスマ販売員に成り得るんです。
また、同じ技術や知識を持ったとして、和子さんと同じだけ、
「お客さんを喜ばせること」
が無意識レベルにインストールされていないと、和子クラスでお客さんの「買わない理由」を無くす言葉も出てこないでしょうし。
とどのつまり、「お客さんを喜ばせること」という、商売の大前提を身につけていること
これが和子さんがカリスマ店員と言われる由縁じゃないか、と。
顔の見えない、インターネット越しのお客さんを喜ばせるには?
私もこのNMF然り、各種教材内でも常々「お客さんを喜ばせること」を説いてきているんですが
何故かこの重要性って、軽視されてるというか。
なんとなくは分っていても、2-3記事書いたら、すぐスッポ抜けたり
なんなら、聞いた側から忘れられたりで。
飲食店や路面店では、お客さんが目の前にいるだけに反応が見やすいですけど
「ネット」になると、ダイレクトな反応がないから喜ばれてるかどうか、判断できない
ってのも、一理あるのは分るんです。
でも、だからこそ、ネットではヤリ過ぎる位にやって、それで、やっと
- アクセスが伸びる
- 滞在率が上がる
- SNSの拡散が増える
- 広告がクリックされる
- 商品が売れる
って、なる訳ですよ。
それを、ほんの2-3記事、しかも、誰にも喜んで貰えなさそうな、自分よがりの日記みたいな記事を書いた程度で
「教材に書いてある通り、実践したつもりです」と言いながら、
- アクセスが伸びません
- 滞在率が増えません
- SNSで拡散されません
- 広告がクリックされません
- 商品が売れません
と、言われても・・・ねえ。
その記事を読んで、一体誰が「喜んでくれる」と思っているのか、切々と問いたい。
先日募集した「オオスガへ単純に聞いてみたい質問」の例題?として
【オオスガのメシブログ、2018年の展開】って挙げたの、覚えてます?
結論から言うと、今私が準備している、飯ブログの次のステップについて、せっかくの機会なので、話してみようかな・・・・
と思って、この例題を挙げたんですが、この一文だけを読んだところで
「俺、飯ブログやってないから興味無いわ」
「私は食べ歩きが趣味じゃありません」
ってスルーされたのか、コレに関する質問は一切無しw
でももし
「お客さんを喜ばせること」
というのを、心底考えている人であれば、あの一文から察して
「今の飯ブログが、お店の紹介以外の方法で、どんな価値の提供を行っていくのか」
って部分まで、想像を広げられると思うんです。
ただ結論としては、残念な程にスルーされてしまった、と。
まあ、そんなこんなも引っくるめて、商売の根底にある
「お客さんを喜ばせること」の重要性であったり
「サイトやブログを通じて喜んで貰う事」を、常日頃から真剣に考えているのかなあ
なんて事を伝えてみたかった訳です。
ぜひこの機会に
『自分の発信する情報が、訪問者に喜んで貰えているのか』
『自分の運営するメディアが、どうすれば喜んで貰えるのか』
を全身全霊、フル回転して考えてみて下さい。
そしても一つ、前述した「和子さん」の出演していた番組ですが、他局のニュース番組がどこもかしこも
【羽生くん(さん)】【宇野くん】【藤井くん】
で、盛り上がっている中、
フィギアにも将棋にもなんの縁もない
【精肉店の和子さん】
の特集に踏み切った、テレビ朝日に敬意を表したい、そんな思いも含め、ご紹介してみました。
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